薬局での麻薬の加算、服薬指導について
麻薬の加算
麻薬加算は、1調剤につき70点の加算
麻薬管理指導加算は、麻薬を調剤した場合であって、麻薬の服用に関し、その服用及び保管の状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行ったときは、所定点数に22点を加算する。
ア 当該患者またはその家族などに対して、電話などにより定期的に投与される麻薬の服用状況、残薬の状況及び保管状況について確認し、残薬の適切な取扱方法も含めた保管取扱上の注意などに関し必要な指導を行うとともに、麻薬による鎮痛など効果や副作用の有無の確認を行い、必要な薬学的管理指導を行った場合に算定する。
イ 指導の要点は薬剤服用歴の記録に記載する。
医療用麻薬(オピオイド)の服薬指導
がん患者にとって医療用麻薬(オピオイド)を適切に使用し、副作用をうまくコントロールしていくことが重要です。そのためにも正しい知識と必要な提案をできる知識を持っておく必要があります。
まず疼痛コントロールの目標は、第一に痛みに妨げられない夜間の睡眠、第2に安静時の痛みの消失、そして第3に体動時の痛みの消失です。患者は身体的苦痛だけでなく精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛にさらされています。希望する療養場所というのは死期が迫る中でさまざまに変化します、いつでもどこでも切れ目のない緩和ケアを提供できる体制を整えていく必要があり、医師・看護師・薬剤師・栄養士・MSW・ケアマネージャーなど様々な医療従事者が協力し患者を支え、よりそった治療をおこなっていく必要があります。そんな中で薬剤師ができることは多く、正しい知識をもって患者に接していく必要があります。
痛みの問診では開かれた質問(open-ended question)を意識して受け手の自由な応答を促すようにします。
初回治療では、医療用麻薬(オピオイド)について正しく理解していただくことが重要です、麻薬というと患者はマイナスなイメージを持ち気味です、以下のことはすべて誤解であること、また医療用麻薬(オピオイド)を使用することで患者のQOL向上につながり、治療に前向きに取り組むことができ、充実した生活を送ることができるようになることを伝える必要があります。
- 中毒または精神依存になるのではないか?→適切に使用すれば中毒・精神依存にはならない
- 終末期ではないか?→終末期に限ることなく適切な段階(早期であっても痛みに応じて)で取り入れられる
- 寿命が縮まるのではないか?→適切に使用すれば生命予後に影響することはない
- いつか効かなくなるのではないか→痛みに合わせて投与量を調節していけるため、必要量が増えることはあっても効かなくなることはない
痛みの部位・性状・強さ・パターンを聞きます
- 痛みの部位:どこがいつから?→以前からの部位、または新たな部位
- 痛みの性状:どのように痛いのか?→ビリビリ電気が走る、しびれる、じんじんする、ズキッとする、ズーンと重い
- 痛みの強さ:持続痛と突出痛時(レスキュー使用時の痛みの強さの評価)に分けて、NRSやVAS、VRS、FPSなどを使用して
- 痛みのパターン:持続痛(ベースの増量や効果の切れ目などないか)と突出痛(疼痛のきっかけがあるか、また予測できない痛みに対していかにアプローチしていけるか)に分けて
医療用麻薬(オピオイド)の使い方について
- 時間を決めて定期的に使用する
- 突出痛にはレスキューを使用する
- 副作用対策が重要
- 基本的にNSAIDsを併用する
- オピオイドやNSIDsで取り切れない痛みには、鎮痛補助剤の検討も
- 高齢の方や全身状態が不良の場合には少量から開始する
医療用麻薬(オピオイド)の副作用について
主な副作用としては吐き気・便秘・眠気です、正しい知識をもって適切に対処していくことが重要です。
- 吐き気:オピオイドの投与初期にみられることがある、開始後1~2週間程度で収まる。その間予防投与の薬が出ることが多い。
- 便秘:オピオイドを使用すると消化管の運動を抑制してしまうため、ほとんどの方が便秘を生じる、必要な緩下剤を併用する必要がある。
- 眠気:開始時・増量時に、眠気・傾眠といった症状がみられることが多い。一定の期間が過ぎると症状は治まってきます。不快な感じで続くようなら薬が効きすぎている可能性があるため減量や他薬への変更が必要です
- その他(せん妄など)
疼痛の評価シートや副作用モニタリングのチェックシート、レスキュー使用のタイミングなど処方元の医療機関と内容をつめて同じツールを使用できると、患者がどこに行っても安心して治療に臨むことが可能となります。また同じ評価ができれば、適切な提案なども可能となります。現段階では難しいことが多くこれから病薬連携・薬薬連携の発展が望まれます。
医療用麻薬(オピオイド)を使用するにあたり、患者の誤解を解き、積極的に治療に向かえるよう手助けすること、また薬剤を正しく使い副作用をマネジメントすることで、生活のQOLを改善し人生を前向きに過ごしていけるようになります。薬剤師が担う役割は非常に大きなものと言えます。今回の記事は麻薬の導入にあたるところですがとても重要なことです。医師・看護師・栄養士・MSW・ケアマネージャーとともに患者に寄り添う医療を提供できるようがんばっていきましょう。
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