薬の副作用、高カルシウム血症について

整形外科の門前で、骨粗鬆症の予防にビタミンD製剤がよく出るけど
どういったことに注意して服薬指導したらいいかな?

薬の効果はもちろんだけど、副作用について説明しておくと、それに注意して内服できるからいいよね。
ビタミンD製剤だと、高カルシウム血症や尿路結石、急性腎不全などかな。

尿路結石や急性腎不全はなんとなくイメージ出来るけど、高カルシウム血症の副作用ってどういう風に説明したらいいのかな。

高カルシウム血症は、特徴的な副作用が無くて、初期は無症状なことが多いから注意が必要なんだよ。高齢な方や腎機能が落ちている方は、起こりやすいからどういったことに注意しておくといいか一緒に確認しておこう。

高カルシウム血症とは

血清総カルシウム濃度が10.4mg/dlを上回る、または血清イオン化カルシウムが5.2mg/dlを上回った状態のときに診断されます。

主な原因としては副甲状腺機能亢進症、ビタミンD中毒、癌、肉芽腫性疾患、不動状態、ミルク・アルカリ症候群などがあります。

カルシウム値の基準値

8.4~10.4

高カルシウム血症の臨床症状について

高カルシウム血症は、特徴的な症状に乏しいです。

軽度の高カルシウム血症では多くの患者が無症状です。

具体的な臨床症状では、倦怠感・疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、便秘などがあります。また腎濃縮機構の障害は、多尿、夜間頻尿、多飲などにつながります。血清カルシウム濃度12mg/dlを上回ると、情緒不安定、錯乱、せん妄、精神病、昏迷、昏睡が起こる可能性があります。高カルシウム血症に関連して、尿路結石はよく見られる症状の一つです。重度の高カルシウム血症では、心電図でQTc間隔の短縮を引き起こし、不整脈を生じることもあります。18mg/dlを上回る高カルシウム血症では、ショックや腎不全が生じる場合があり、死に至ることもあります。

対策

血清Ca値を3~6か月に1回程度測定。異常が認められた場合ただちに休薬し、正常域に低下後、減量し再開すします。

治療

原疾患の治療が第一です。それと並行して高カルシウム血症に伴う腎機能の低下、脱水症状、骨吸収更新に対する治療が必要です。

まずは、脱水改善のために生理食塩水の点滴静注によりカルシウム排泄の促し、さらに全身状態を観察しながら利尿剤の投与を併用します。この治療により循環血行動態や高カルシウム血症の改善が期待できます。

一方、骨吸収亢進に対する治療としては、ビスホスホネート製剤投与します。

主なビタミンD製剤とCa製剤

主なビタミンD製剤

  • アルファロール、ワンアルファ(アルファカルシドール)
  • エディロール(エルデカルシトール)
  • ロカルトロール(カルシトリオール)

主なCa製剤

  • アスパラCa(アスパラギン酸カルシウム)
  • カルチコール(グルコン酸カルシウム)
  • 乳石錠(乳酸カルシウム)、乳酸カルシウム末

薬剤師が出来ることは、高カルシウム血症の症状について理解しておき、患者との会話の中でその症状を見つけ出せるといいね。また定期的に採血がおこなわれているかを確認しておく必要があるね。
もしなにか気になることがあれば受診をすすめたり、疑義照会することがいいかもしれないね。

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