抗うつ薬の種類と特徴について 

2020年10月14日

抗うつ薬とは、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンの再取り込みを阻害し、シナプス間隙におけるこれらの伝達物質の濃度を増加させることにより、神経伝達を強化し抗うつ効果を発揮する。
抗うつ薬が抗うつ作用を発揮するには2~4週間を要する。

うつ病は身体と精神の不調を起こす病気で、薬物治療と心身両面の休養により完治することを十分に理解してもらう必要がある、また抗うつ薬の効果発現まで数日から数週間要し、よくなったとしても再発することもあり医師指導のもと根気よく治療を続けていかなければならず、副作用も起こりやすく自己にて中断しないよう説明することも重要である。

抗うつ薬を十分量・十分な期間、確実に服用することが基本
自殺念慮に注意

うつ病と関係する神経伝達物質
セロトニン:不安や落ち込み
ノルアドレナリン:意欲や気力の低下
ドーパミン:興味や楽しみの減退

神経伝達物質の影響により出現する副作用
抗コリン作用:口渇・便秘・排尿障害・緑内障の悪化
抗ヒスタミン作用:眠気・体重増加
抗アドレナリンα1作用:起立性低血圧・眠気
セロトニン再取込阻害:消化器症状、性機能障害、不眠
ノルアドレナリン再取込阻害:尿閉

三環系抗うつ薬

最初に開発された抗うつ剤で、構造中に三環式化合物を有し、ノルアドレナリン・セロトニンなどの神経伝達物質を、再取り込みを阻害することにより遊離するノルアドレナリン・セロトニン濃度を増やす
選択的作用が低く副作用が多岐にわたり、また出現しやすい

四環系抗うつ薬

構造中に四環式化合物を有し、三環系抗うつ薬に比し効果は弱いが副作用が軽減された薬剤

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

脳内でのセロトニン再取り込みを防ぎ、セロトニン濃度を持続的に上昇し抗うつ作用を示すセロトニンは感情をコントロールし精神を安定する働きがあり、SSRIはうつ病だけでなくパニック障害・強迫性障害・PTSDに対しても効果を示す

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

脳内でのセロトニン及びノルアドレナリンの再取り込みを防ぎ、セロトニン・ノルアドレナリンの濃度を持続的に上昇し抗うつ作用を示す。効き目が早く表れるのが特徴。ノルアドレナリンは意欲や活動性の低下に対して有用と考えられている

ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)

中枢神経のシナプス前α2自己受容体及びヘテロ受容体に対して阻害作用を示し中枢神経のノルアドレナリン及びセロトニンの神経伝達物質を増強することが考えられている
短時間で効果を発現すると考えられている

セロトニン再取込阻害、セロトニン受容体調節薬

セロトニン再取り込み阻害作用に加え、セロトニン1A、1B、1D、3、7受容体への作用を有する→セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン・アセチルコリン・ヒスタミンの遊離調節作用を有し抗うつ効果を発揮する。

その他の抗うつ薬

抗うつ薬の比較一覧表を以下に示します

他の精神神経系の薬についても記載していますのでよかったら参考にしてください

抗精神病薬の種類→https://ph-mukkun.com/post-153/

気分安定薬の種類→https://ph-mukkun.com/__trashed/