顎骨壊死の副作用、どんなことを指導する?

ビスホスホネート製剤を服薬指導する際、重篤な副作用について患者へ伝える必要があります。また初回以降もそのフォローが必要な副作用です。

顎骨壊死とは

下顎骨または上顎骨の露出を伴う口腔病変。痛みを生じる場合と生じない場合がある。

診断は、骨の露出が8週間以上みられることによる

治療はデブリドマン、抗菌薬及び咳嗽

ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死(BRONJ)とは

ビスホスホネート製剤による治療歴があり、症状が8週間以上、また顎骨への放射線療法の既往のないものとされている。

典型的な臨床症状は、疼痛、軟組織の腫脹及び感染、歯の動揺、排膿、骨露出である。一部の症例では歯・歯周疾患に類似した症状を訴えることがある。

発生機序はまだ明らかになっていないが、骨代謝回転抑制作用(骨代謝回転が過度に抑制され、顎骨において微小骨折が蓄積し、また血管新生も抑えられ骨細胞の壊死、アポトーシスに至るという説)・血管新生抑制作用などの説が考えられている。

危険因子としては、コルチコステロイド療法、糖尿病、喫煙、飲酒、口腔衛生の不良、化学療法がある。また自然に発生することもあるが抜歯などの骨を損傷する歯科治療と関連して発生することが多いとされている。

BRONJの発生頻度

注射製剤:10万人年あたり100件以下

経口製剤:10万人年あたり1件以下

服薬指導時の注意点

経口製剤投与患者の場合

発生頻度は低いが、起こるとこわい副作用である。歯科受診時には現在の内服歴を伝えること、また日々口腔内を清潔に保つことが重要であることを説明する。

もし抜歯などの侵襲的治療が必要となった場合には、一定の期間ビスホスホネート製剤を休薬する必要がある。
経口ビスホスホネート製剤投与期間が3年以上、または3年未満で、コルチコステロイド併用している場合→処置前の3か月間は投与を中止し、処置部位の骨が治癒傾向を示すまで再開を避ける方がよいとされている。
経口ビスホスホネート製剤投与期間が3年で他に危険因子がない場合→歯科治療の延期・中止やビスホスホネート製剤の休薬の必要はないとされている。

注射製剤投与患者の場合

歯科検診を受け、十分な検査がを行う必要がある。
歯科治療が必要な場合は、注射用ビスホスホネート製剤投与前に治療完了しておく必要がある。
日々口腔内のを清潔に保ち、歯周組織の状態を良好にしておく必要がある。
上記のことを治療前によく説明しておくことが重要である。

もし抜歯などの侵襲的治療が必要となった場合には、手術部位が治癒するまで注射用ビスホスホネート製剤の投与を延期する必要がある。

その他ービスホスホネート製剤の種類と服薬指導

ビスホスホネート製剤の種類と服薬指導について別に記事を書いていますので、よかったら見てください。